2025年06月19日
「失敗は成功の母」という言葉があります。
これに対し、「成功は失敗の母」というのが私の持論です。
例えば、躍進した企業がその後短期間に業績を悪化させてしまう、
出世した会社員が横柄になりパワハラをしたあげくクビになる、
仕事の個別事情を考慮せず何でも自分の勝ちパターンに持ち込もうとして失敗する、
などといったことをイメージしてください。
もちろん「成功すると最終的に失敗するおそれがあるから、最初から成功を目指さないでおきましょう。」
などと言いたいわけではありません。
事業において、仕事において、成功を目指すことは大前提です。
私が言いたいのは、一定の成功を収めた後、その成功が原因となって失敗に陥ることがないように
あらかじめ注意しておきましょう、ということです。
私は、成功が原因で失敗に至る理由は、大きく3つあると考えています。
・満足感
「もうそれなりに成功したからこれぐらいでいい。これからは現状維持で行こう。」
このような満足感が失敗を導く要因の一つです。
事業や仕事においては現状維持は目指すものではありません。
右肩下がりに落ち込んでいく未来しか待っていません。
・慢心
「おごる平家は久しからず」と昔から言われてきました。奢った気持ちでいれば、
事業や仕事において考えるべきことも考えなくなり、やがて失敗に至るでしょう。
・自己検証を怠ること
「俺のやり方が正しい。こうやっていれば大丈夫。」
人間は、あるやり方で成功すれば、その次も同じように成功すると考えがちです。
しかし、時代も状況も常に変化しています。
自分の考えや行いが適切かどうか、もっと良い方法はないのか、
そういったことを考えずにいれば、遠からず失敗が待ち構えているでしょう。
ユニクロの創業者である柳井正さんには『成功は一日で捨て去れ』(新潮文庫)という著作があります。
2000年代の初頭の時点で、ユニクロは、世間から大成功を納めた企業として見られていました。
柳井さん自身は、ユニクロはまだまだこれから成長していかなければならないと考えていましたが、
社内には、成功による満足感やほどほどで良いとの空気が漂うようになっていたようです。
この題名には、そうした社内の状況にかつを入れる意味があるようにも思います。
一時の成功に満足・慢心することなく、より一段階上の成功を目指しましょう。

西川 和志
税理士法人 森田経営
代表社員
昭和54年7月19日生
主な資格:税理士、弁護士